箱の中身
2007 / 11 / 25 ( Sun ) 高円寺で、知り合いが出演している芝居を観た。
作品はありもので、東京壱組の原田宗典氏の脚本。ていうか、原田宗典さんて脚本家だったんだね。小説家の顔しか知らなかったよ。 物語は、ある小さな時計屋の妻が殺された事件に始まる。彼女は以前ボクサーと離婚し、その時計屋と再婚したのだったが、ある日元夫と再会してしまう。ふたたびの恋にはまった彼女は、店のお金にも手をつけて元夫に貢ぐようになる。そんな妻を時計屋はどうすることもできない。元夫との再婚が叶わず、彼女は命を落とすのだが、結局彼女を殺したのは誰だったのか、それぞれの記憶は錯綜したまま終わる。 ドロドロな恋愛モノなんだけど、いや〜、見応えがあっておもしろかった。恋愛の美しさと狂気があいまって、破滅へ向かっていくさまが何だか妙に納得できたのだ。強いて言えば、彼女を殺したのは恋愛という病だったのだろう。 恋に落ちた妻がだんだんと変わっていく様子がリアルだった。恋をすると人間は、美しくなって、冷酷になる。妻に裏切られた時計屋は本当にかわいそうなのだが、彼女を失いたくないばかりに引き留めることもできない気弱さが、傍目にも疎ましい。誰も憎み合ってはいないのに、どうしようもなく傷つけ合ってしまうのが、切ないなあ。 でも、そういう開けてはいけない秘密の箱が、誰の心にもあるんだろうな。一生開けずに生きていければ平穏無事だけど、平穏無事は裏返すと退屈でもあるわけで。箱を開けたら元には戻せないのに、何が入っているのかどこまでも確かめたくなってしまうのですねぇ。 あなたの秘密の箱には、何が入っているのでしょうか? |
ボジョレー・ヌーボー
2007 / 11 / 22 ( Thu ) 今年もやってきました。ボジョレー解禁の季節。今どきはコンビニでもボジョレーを買えるんですが、今年はわざわざ阪急デパートから赤白2本お取り寄せしてしまいました。 え?あんまりワイン飲まないくせにどうしてって? だって。。。見つけちゃったんですもの。 リサとガスパールの限定ボジョレー! いや、中身は普通のボジョレーだって、分かってるんですけどね。でも、かわゆいじゃありませんか。なんだかもったいなくて飲めません。でも、飲まなくちゃ意味ないから、特別な日に飲もうっと♪ 阪急デパートは、ここ数年なぜかリサガスと提携していて、クリスマスにはリサとガスパールケーキも出るそうです。 |
レインマン
2007 / 11 / 18 ( Sun ) パルコ劇場で、舞台レインマンを観た。
昨年の初演に続き、再演された作品。 いやはや。。。ここ最近観た中では、ダントツに素晴らしい舞台だった。終わった後、いつまでも拍手が鳴りやまず。スタンディング・オベーションが出る舞台も久しぶりだった。 レインマンというと、やはりトム・クルーズとダスティン・ホフマンの映画のイメージがまずあって、でもそれもだいぶ前に観たからすっかり忘れてしまい、カジノに行った兄弟が、お兄さんの特殊な才能で荒稼ぎしていくチーンジャラジャラなシーンしか印象に残っていなかった^^;) あれを舞台でどう見せるのかなあ・・・と思っていたのだが、意外にもシンプルな美しい舞台美術で、物語的にも兄弟の心の交流と変化に焦点を絞っていたので、すっきりと温かい作品に仕上がっていたと思う。 兄のレイモンドを橋爪功が、弟のチャーリーを椎名桔平が演じたが、特に橋爪功の演技が素晴らしい。自閉症という難しい役どころながら、いかにも「自閉症らしい」表現に頼ることなく、レイモンドという一人の人間としてそこに存在していた。つくづく役者は、その人のもつ属性に左右されることなく、何ごとも解釈することなく、その人のありのままの姿を見つめ、愛することができなければできないものだと思った。 椎名桔平もよかったが、私の好みとしては、もう少しヤサグレ感というか荒み感が欲しかったかな(笑)。 見終わった後、胸に温かいものがいっぱい詰まっていてすぐに言葉にならず、とても後味のよい芝居だった。あれこれと語りながら飲んだビールがおいしかったことは言うまでもない。 |
リピテーション
2007 / 11 / 16 ( Fri ) 最近、気球日記サボリ気味だったなぁ。
ちょっとばかり仕事が忙しかったり、プライベートが忙しかったり。 最近のワークショップで、リピテーションというワークをやっている。 2人組になり、今相手との間にある感情や自分が感じ取った相手の様子、自分が感じていることなどを言い合うワークである。 と、書いてもたぶん読んだだけではちょっと分からないと思う。実際にやってみないと。ルールも、流れに応じてわりとファジーなので。 大事なことは、今その場でどう感じているか、相手との間にどういう空気があるかを、ていねいに感じ取り、言葉で表現することだ。 当たり前のことのようなのだけど、やってみるとこれが意外に難しい。というか、苦手。自分の癖を痛感する。感情をあとからよく咀嚼したり、文章にしたりするのはできるのに、今この瞬間何を感じているかということに意外と疎かった。いや、疎いというより、それを一旦封じたり、自分の中で解釈したり、客観視したり、そういう癖が知らず知らずのうちに身に付いているのだと思う。今までの何気ない生活の中で。 そして、自分の内側を見せることや見られることに、臆病な自分にも気づく。リピテーションをやっていると、つい足を組んだりあぐらをかいたりしたくなってしまうのだけど、それは相手に対して自分を見せない、そういう防御の気持ちなのだそうだ。できるだけ、体もリラックスしてやるのがいいらしい。 人がやるのを見ているときも、明らかに空気が流れているのに、それを口にしていなかったり、たぶん本当は心の中と違うことを口にしているんじゃないかなあと思うときもあって、おもしろい。 感情や空気というものは、流れのように移り変わっていくものであり、その瞬間瞬間のナマモノである。芝居の中でも、それがあまりにていねいに準備されたものであると、見ている方はちょっと興ざめする。たぶん、準備段階で自意識が混入するのだ。 心のレベルを、つねにゼロに戻す。 そして、今感じていることに勇気を持って身をさらし、アンテナを磨く。 そういったトレーニングを、これからもしばらく続けていきたいと思う。 そんなわけで、最近一人で道を歩いているときも、「ひとりリピテーション」をしています。 |
傍聴日記☆07.11.05
2007 / 11 / 05 ( Mon ) 日曜日、シアタートップスで、ONEOR8の「ゼブラ」を観た。魅力的な役者さんがそろっていたので楽しみにしていたのだが、期待通りだった。
母親の細腕一本で育った4人姉妹。今はそれぞれの暮らしを持っているが、母親の死に際して全員が集まる。そこで起こる事件やゴタゴタや、波立つ思い。 私は、ラストシーンで一人家に残る、三女の背中が何とも言えず胸に迫った。強がりで頑なで、最後まで涙を見せたりしない彼女。彼女はきっと、お母さんのことが本当に大好きで、本当は一番傷ついていて、本当は一番我慢してきたんじゃないかと思えた。そうとしか生きてこれなかった彼女に、そんなに肩肘張らなくてもとか、いいかげんに心を開いてとか、私には言えない。自分もオトナ歴が長くなるにつけ思うけど、人間は別にだんだんとまるくなるわけじゃなくて、結局ずっといびつなのだ。いびつなまま、どうにか適応しているだけだ。いびつさを譲らずに周囲を変えていくか、いびつさを柔らかくして現状を呑むか、自分のいびつさがうまくはまる居場所を探すか、そんなことを試行錯誤し続けているのだ。 でもきっと、あの三女のいびつさを慈しみ、大切にしてくれる人がきっと現れると思う。彼女は自分のいびつさを持て余すほどちゃんと分かっているから。自分のいびつさと格闘する人の姿は、ちょっと滑稽で愛らしい。 さて、劇場以外で、そんな人生の濃縮エッセンスが味わえる場所といえば、やはり法廷です。そういうわけで、平日休みの今日は、例によって霞ヶ関へ足を運びました。もっともこちらは、架空の物語ではありませんが。 今日見た公判の中から印象に残ったもの2つ。 一つめは、いわゆる「裏求人サイト」なるものにアクセスして、犯罪行為に手を染めてしまった、いかにもアキバ系の男性。 「一日一緒に行動するだけで1万円」のお金に目がくらんで応募し、合流した仲間はレイプ集団だったそうな。そこで暴力団の存在をにおわせる言葉に脅されながらもノコノコ一緒に行動し、加担してしまったという一件。 彼は、「そんな仕事をさせられるとは知りませんでした」「暴力団がついていると脅されて、怖くて逃げられませんでした」と妙に滑舌よくくり返し、まるで自分が被害者のような答弁をくり返す。 そこでブチ切れた検察官、かなり語気荒くアキバ君を責め立てる。「そもそもまともに稼ごうと思うんなら、なんでそんなサイトでバイト探すの!?」「なんでそういうところで高額なお金が手に入るか分かる?要は、簡単にお金が手に入るんならちょっとくらい悪いことやってもいいやって思ったんでしょ!?」「本当に悪いと思ってるなら、仲間の犯行を止めるなり、逃げるなりすればよかったでしょ!」「女の子助けるより、自分の方が大事だったんでしょ!」しまいには裁判官3人も検察官みたいになって、かなり責められてました。。。その勢いに、アキバ君もたじたじ。 ま、当然と言えば当然だけどね。そんなサイトで仕事を見つけておいて、「そんなつもりじゃなかった」で済むわけないんだけど。でも、彼は20歳。きっと本当に後先考えずに、目先のお金に目がくらんで手を出してしまったんだろうなぁ。私には、彼には本当に事の重大さがまったく想像できていなかったんじゃないかと思えた。これも、ネット社会の怖いところだよね。あやしい人に面と向かって誘われればさすがに断るだろうに、最初は画面相手だから気軽にアクセスできちゃう。サイトを見る、メールを送る、待ち合わせをする、行動を共にする、その一つ一つは本当に小さなステップだから、きっと罪悪感なんてないと思う。最後の結果に至ってようやく「ひどいことをしている!」と気づけばまだいい方で、その流れだったら結果的に犯罪に加担することになっても「しょうがなかった」程度の感覚なんじゃないか?この被告人のように。 もちろん、20歳とは言え、立派な成人だから言い逃れはできない。判断力が欠けていた自分のおつむを嘆きつつ、おとなしく裁かれるしかない。でも、そんな息子の裁判を傍聴しに来る両親も辛いよなぁ。。。ちなみにこの被告人、「銀行の口座を貸してもらうだけで2万円」のバイトにもノコノコと応募し、振り込め詐欺の振込口座に使われている。とことん想像力がないらしい。バーチャルとリアルの境目があいまいな時代だから、動機と結果のギャップがますます大きくなっている。 一番かわいそうなのは、被害にあった女の子たち。いずれも未遂に終わったそうだが、どんなに怖かったことか。夜道でいきなりスタンガンで襲われて、車に連れ込まれそうになるなんて、想像するだけでぞっとする。現実にはこういう事件がたくさん起きてるってことだ。報道されるような事件は、氷山の一角。。。 2件目は、小さな事件だったが、珍しく被告人が女性だったので見てみることにする。少し早めに行ったら、すでに列ができていて小さな法廷がたちまち満席になる勢い。ときどき、こうして隠れ人気の事件があるものだ。 事件は、ホストクラブの食い逃げ事件。被告人の女性は、初めて行ったホストクラブで60万円豪遊し、最後にお金がないと居直ったそうな。うむむ。 今日は、証人尋問だった。証人は20代と思われるかなり派手な女性。若いながらもホストクラブのマネージャーをしているとのこと。尋問を通していろいろとホストクラブの流儀(?)みたいなものが語られ、法廷一同ふむふむといった空気が流れる。受け答えも手厳しく、もごもごした弁護士に対しては「何言ってるかわかんないんだけど」「それって何か関係あんの?」とばっさり。最後に処罰感情を聞かれると「極刑ですね。だって、お金払えないんですから」と本人を前に言い捨て、さすがに裁判官も失笑していた。いやはや、どの世界にもきっとその世界なりの身の処し方ってものがあるんだろうけどね。どう見ても若い女性なのに、何とも言えない迫力だった。 それにしても、どうしてそうまでしてホストクラブで遊びたかったんだろう、被告人。もちろんその場はちやほやされてこの上なく楽しいだろうけど、店を出た後のむなしさを考えると、私はやっぱりお金で男性は買えないなぁ。。。 傍聴した後は日比谷公園をぶらり。ほかほかと秋らしく、きれいだった。 そのまま有楽町まで歩いて、新しくできたイトシアに寄ってみる。なんとまあ、おしゃれだこと。 |
プレゼント
2007 / 11 / 02 ( Fri ) 自分以外の誰かに贈る一番のプレゼントは、時間だと思う。
相手が子どもでも、大人でも、男性でも、女性でも、友達でも、恋人でも、家族でも。 一緒に過ごす時間ももちろんいいけど、相手のことを考えている時間とか、思い出している時間とか、一緒にいなくても相手のために何かしている時間とか、そういうの全部含めて。今というこの時間は、後からは取り戻せない。今という時間を積み重ねることが、相手へのプレゼントになる。 写真をもらうと、うれしい。楽しかった思い出を共有していて、現像する手間暇をかけてくれたことを感じるから。ていねいな手紙やメールをもらったりすると、うれしい。その時間は、自分のことを考えていてくれたのだと感じるから。食べ物の好みや好きな物などを覚えていてくれると、うれしい。前にそんな話をしたことを、ずっと覚えていてくれたのだと感じるから。自分の小さいときの話を聞くのは、うれしい。自分も覚えていないような昔から、ずっと愛してくれていたのだと感じるから。 たくさん話す時間がないなら、ほんの短いメールを送りたい。何をするでもなく、ただ世間話をしながらまったりとする時間を大切にしたい。解決策の見つからない悩みごとに、耳を傾けたい。何の慰めも言えなくても、苦しんでいるならただそばにいたい。 無為だと思える時間が、愛を伝え、成長を支え、関係を深めてくれる。 ついせわしない気持ちになってしまうときも、そのことを胸に刻んでおきたいと思った。 ついでに、笑顔も添えて。 |
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今年もやってきました。ボジョレー解禁の季節。